使用人兼務役員に賞与や退職金を支給する際の注意点

使用人兼務役員とは、部長や課長などの従業員としての職務上の地位があって実際にその職務に従事している人をいいます。
使用人兼務役員は、毎月支払われる給与(使用人としての給料と役員報酬)はもちろん損金算入されますが、賞与のうち使用人に対応する部分についても損金算入されるところが通常の役員と異なる点で節税効果があります。
このように使用人兼務役員は賞与も損金算入することができるという大きな節税メリットがあることから、税務署も調査の際に賞与が支給された使用人兼務役員がきちんと要件に合っているのかチェック厳しくチェックをします。

使用人兼務役員に該当するための要件

使用人兼務役員に該当するためには、次のような要件を満たす必要があります。
①代表取締役、専務取締役、常務取締役、監査役でないこと
②部長、課長など職制上の地位を有していること
③常時使用人として職務に従事していること
④持株割合が10%以下のグループに属していること
⑤個人の持株割合が5%以下であること

使用人兼務役員に賞与を支給するための要件

使用人兼務役員に該当すれば賞与を損金算入できるという訳ではなく、別に次の要件を満たす必要があります。
①支給した賞与が従業員の賞与として処理をされていること
②他の従業員と同じ日に賞与が支払われていること
③その賞与の金額が社会通念上妥当な金額であること

使用人兼務役員も労災の保障を受けたり失業保険の給付を受けることができます

労働者としての性質が強い使用人兼務役員については、労災保険と雇用保険に加入することができるので、仕事中にケガをした場合はもちろんの事、会社を退職した際には申請をすれば一般の従業員と同じように失業保険の給付を受けることも可能です。

使用人兼務役員が役員に昇格した際に支給された退職金の取り扱い

使用人兼務役員が、使用人兼務役員に該当しない役員になった際に使用人兼務役員であった期間の退職金は、たとえ使用人の職務に対する退職金であっても、その役員に対する退職金以外の給与となります。
ただし、次の全てに該当する場合には、その支給した金額は使用人としての退職金として取り扱われます。
①過去に使用人から使用人兼務役員に昇格した者(使用人であった期間が相当の期間であるものに限ります。)であり、その昇格をした時に使用人であった期間に係る退職金の支給をしていないこと。
②支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき、使用人であった期間及び使用人兼務役員であった期間を通算して、その使用人としての職務に対する退職金として計算され、かつ退職金として相当な金額であると認められること。
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