税務調査による横領発覚の大きな要因とされているのが、「質問検査権」です。

質問検査権とは税務調査の調査官全員に与えられている法的根拠であり、どのような調査場所に対しても予告なしで現物確認による調査や取引先への反面調査・銀行調査を行うことができる権利を言います。簡単に言ってしまえば、税務調査を行うための免罪符です。

この権利を用いて行われる調査は全て法律に基づいた調査とされていて、調査を求められた法人はそれを理由なく拒否することはできません。しかも法人の中で権限がある場所であっても、関係なく調査をすることができます。それほどに強力な権力を持った調査を行うため、法人は横領の事実を隠し通すことは難しいとされています。

その結果、質問検査権の効果によって多くの法人で横領が発覚していると言われているのです。

あらゆる情報が集まってくる点も大きな理由の一つ

ほかにも横領が発覚する大きな理由として、タレコミや資料収集などのあらゆる情報が税務調査によって集められている点も挙げられています。

税務局では税務調査を行う以外にも、事前調査として外観調査や内観調査などを実施しています。これらの調査は場合によっては張り込みや尾行に及ぶこともあるため、税務調査当日以外にも様々な情報が収集されているのです。

また税務調査を行うきっかけとなるケースとして知られているのが、内部事情を知っている人間からのタレコミだと言われています。タレコミの内容には色々なものがありますが、真偽を確かめるきっかけとして重宝されています。

このように調査だけではなく外部からの情報提供も利用されているため、税務局にはありとあらゆる情報が集まって横領発覚の手助けとなっているのです。

税務署の調査官は全て調査のプロである

税務調査は、税務局の調査官によって行われています。

調査官はこれまでの経験から多くの横領などの不正のパターンを認識しているのはもちろん、性悪説に基づいた調査を行っているという特徴があります。このため出来上がった帳簿を信用するのではなく、改ざんされたものであるかもしれないという前提での調査を行っているのです。
また経験豊富な調査官や優秀な調査官になると、改ざんしやすい帳簿よりも改ざんしにくい原始記録を重視した調査を行います。原始記録とはちょっとしたメモや捨てられているゴミ、パソコン内にあるデジタルデータなどを指します。

これによって帳簿にはない不審な点を洗い出し、質問をして疑問に思った場合は取引先に反面調査や銀行調査を行うなど、社内の監査では見つけられない横領などの不正取引を暴き出すのです。