税務調査では売上の計上について詳しく調べます。特に計上時期にずれがないか確認するでしょう。

本来、計上すべき売上を次の時期に回していないかみているのです。税務上、計上する時期は入金時や請求書を出した時ではなく、サービス提供時や商品の引き渡し時になります。処理を間違うと、売上計上漏れとして追徴税額を支払うこともあるのです。

計上時期は書類を照合して確認します。どこまで調べるかは、請求書や納品書だけでなく、メールのやり取りなど個人的な情報までです。在庫の計上漏れを調査するために、在庫のある倉庫も調べます。在庫表と倉庫にあるものを照らし合わせ、在庫の計上漏れがないか確認するでしょう。アイテムの数が多い時は、ランダムに選んだ商品をサンプリングで調べます。

現金で決済することが多い店では、計上している売上から現金を抜いていないかの確認もするでしょう。実際に調査官が客として来店し、レシートと帳簿を照らし合わせる場合もあります。

個人経費について詳しく調べる

交際費の中に含まれる個人経費は詳細に調べます。通常は経費にしないプライベートな食事や旅行、贈答品にしている自分の物などがないか確認しているのです。個人の支出と判断された時は役員賞与の源泉所得税徴収漏れなどの扱いになります。

架空の人件費を使って利益を減らしてないかの調査もするでしょう。給料として支払った額を自分の給与にするケースや計上だけして実際に支払わないケースがあるからです。この調査では、履歴書やタイムカード、振り込み履歴などを確認します。タイムカードを使用している会社で一人だけタイムカードを使っていない社員がいると、疑わしいとされるでしょう。履歴書がない人、給与を現金で渡している人の有無などもみています。

その他にも、社会保険未加入者や有給休暇を取っていない人、社長と同姓同名の人がいないかも調べているのです。

外注費について詳しく調べる

外注費では、架空外注費や水増し外注費について調べられます。紹介料やコンサルタント費など金額設定が曖昧なものは、よく調べられるでしょう。架空の外注費や水増しをして、税金を少なくする人がいるからです。これを調べるためには取引先に行き、本当にその金額で正しいか反面調査をします。

源泉所得税を取り漏れている外注費の有無も調べるでしょう。個人事業の場合、外注先へ渡す金額の中から、あらかじめ10%の天引きをする決まりがあります。この天引きをしていないと、源泉所得税の取り漏れがあるかもしれないのです。この決まりは法人にはなく、個人事業主だけになるので注意した方がいいでしょう。

関連会社を複数持っている場合は、適正な取引をしているか確認します。業務上で必要になるため複数の会社を持っていることは、問題にはなりません。利益の拡散や消費税対策をするために機能しない会社があると、よく調べられるでしょう。実体のある会社や外注先なのかを、帳簿や取引履歴などで確認します。

税務調査で反面調査は必ずあるのか?

会社は1年に1度、法人税や消費税の申告を税務署にします。申告に基づいて納税をして一応は終わります。もちろんその都度申告した内容は税務署に確認されますが、通常は申告内容に問題が無ければそのまま申告は正しいとして処理されます。

ただ、申告書に問題がなくても、日常的な経理処理に問題があるかもしれません。そこで定期的に税務調査が行われます。どの会社でも数年に一度は必ず行われ、顧問の税理士に対応してもらいます。

この時、反面調査と呼ばれる方法がとられるときがあります。調査対象である企業の帳簿だけでなく、取引先に対して調査をする方法です。
取引先に反面調査が行われれば今後の取引に影響する可能性も出てきます。この反面調査はすべての会社に対して行われるわけではありません。申告内容に問題がなく、誠実な対応をしていれば行われません。

税務調査で反面調査はどのようなときにされる?

通常の税務調査は、まず顧問税理士に事前に税務署から連絡が入ります。いつから行くのでよろしくお願いしますと事前に伝えられるので、受ける側はしっかり準備ができます。

日頃から適切な税務処理をして、定期的に行われる税務調査にも誠実に対応していれば、普通に税務調査が進められるだけです。しかし反面調査が行われるときがあります。

どんな時に反面調査が行われるかですが、まずは脱税など不正な経理処理があったときです。脱税の事実がなくても、調査において非協力的な対応をしてしまうと行われる可能性があります。

会計帳簿などの提示を求められればそれに応じる必要があります。質問などがあるときも答えなければいけませんが、適切に応じないと問題があるとみられます。また帳簿や証憑がきちんと保存されていないときも反面調査が行われる可能性があります。

反面調査があったらどうすればいい?

通常の税務調査は、事前に連絡を受けてから行われます。しっかり準備ができる状態で調査を受けられますが反面調査は突然行われます。
過去の対応や申告書の内容でおかしい部分があるとき、突然調査官がやってきます。

まずは顧問の税理士を呼んで、どう対応するかを検討しましょう。税務署の調査官は書類の提出であったり、取引先への連絡をしないようになどと言ってくるかもしれません。必ずしも言われた通りにする必要がない時もあります。

税務関係の書類の提出は必要でも、それ以外の書類の提出は不要です。又閲覧させる必要もありません。調査員が検査権を逸脱するような行為をしないようチェックしておく必要があります。

反面調査の対応するときは、社員の誰かが常に在籍するようにしておきましょう。不正をしていないなら、誠実に対応すれば問題は大きくなりません。

税務調査後に行われる更正処分とは

税務関連の調査が終了し、申告ミスなどが発見された場合は、税務当局から修正申告を行うことを勧告されます。この時に、修正申告を拒否し、更正処分や決定処分を受けることも可能です。

税務調査終了後の数カ月後に、計算ミスの項目や更正後の金額等が記載されている、「更正通知書」が届きます。書類に記載されている項目は専門的なものが多いため、税理士に相談し確認することが確実です。

更正通知書の金額に納得がいかない場合に限り、不服の申し立てをすることができます。裁判を行うことになりますが、勝訴することで、税務署からの請求額が不当であると証明ができる点があります。

不服申立ての手続きは、税務署長等に対する再調査の請求を3ヶ月以内に行い、請求決定後の1ヶ月以内に国税不服審判所長に対する審査請求を行います。その審査内容に納得行かない場合は、さらに請求結果通知6ヶ月以内に、裁判所に訴訟を行うことも可能です。

不服申立てを行う期間中における、修正申告の要請対応に時間を割く必要があり、なおかつ身分証明書や質問検査証、帳簿書類の作成と提出が必須です。同時に取引先や雇用主に対する確認等、多くの要請をすべて行うために、時間がかかってしまいます。