時効と聞いて思いつくものは、刑事事件に該当する罪を犯してしまった場合や借金の支払い義務からの解放をイメージする人が多いでしょう。

犯罪以外でも不動産の取得や権利・効力の消滅など、民法上でも定められた期間を待つことで、権利の取得や義務の免除が受けられます。

では、国民の大切な義務の一つである納税も、時効を迎えることで免れることができるのでしょうか。無申告のまま放置していても逃げ切ることができると思いますか?

結論から言えば税金にも時効はあるため不可能なことではありません。その代わり、刑事事件や民法上の権利義務に関わる時効とは条件が違ってくることを最初にお断りしておきます。

一言で税金と言っても、その種類は様々です。一番身近なところでは所得税でしょう。他にも相続税や贈与税など「税」と名の付くものは数多く存在します。時効の条件も、それぞれ異なっていますので順に説明していきます。

税金の時効成立までの期間はどれぐらい?

国税(所得税や法人税など)の時効成立までの期間は、3~7年と幅があります。各段階ごとにそれぞれ条件が異なることを知っておきましょう。
まずは一番時効の短い3年ですが、これは期限内申告をしていた場合に該当します。

例えば、平成28年分の所得税の確定申告であれば、申告期限は平成29年の3月15日です。それまでに申告書を提出していれば、翌日から3年後には時効が成立することになるのです。

これに対して、期限内申告をしなかった人はどうなるのでしょうか。その場合、時効成立までに5年を要することになってしまいます。また、贈与税の場合はさらに長くなり、消滅時効は6年とされています。

普通、何らかの意図を持って行うのが贈与です。そのため、贈与は故意に行われたことが前提とさて、所得税の期間よりも長い時効が設定されているのでしょう。

贈与税の申告期限も3月15日付になります。数え方は、申告の翌年から6年後ということになりますので、覚えておいてください。

ちなみに、無申告の場合はどうなるのでしょうか。このような故意に申告を怠ったケースは重く受け取られるため、消滅時効も長く設定されており、時効までに要する期間は7年です。3~7年の時効成立段階では最も長い期間を要するものですが、悪質なケースであるためやむを得ない処置でしょう。

時効には中断と停止がある?

法律で定められている以上、最長でも7年間逃げ切れば脱税も許されることになりますが、そう簡単な話でもありません。

例えば、時効期間の経過前に税務署から督促状の送付を受けたり、催告状が届いてから6か月以内に差押えがあった場合には時効は「中断」されてしまいます。途中で一部だけ納税してしまった場合にも「中断」が適応されてしまい、時効期間がリセットされてしまうのです。

時効成立を妨げる措置の厳しさは、民法とあまり変わりがないことがお分かりいただけるかと思います。また、本税を支払い済みであっても延滞税があれば時効の「停止」として処理されてしまい、何年経過しても時効が訪れることはありません。

仮に本人が亡くなったとしても、今度は相続税の対象として扱われるため、相続人に引き継がれてしまいます。

この他にも、不動産の購入など、高額な出費をした際に税務署から目を付けられたために無申告が知られるケースも考えられます。時効成立までの資金の使い方の難しさがお分かりいただけたかと思います。

無申告は何年前までさかのぼる?

税務署の調査官は正しく税金が納められているか、現在はもちろん過去にまで遡って税務調査をしています。では、この税務調査はいったいいつまで遡るのでしょうか?

この遡って調べられる年数のことを遡及年数と言います。

一般的な税務調査の範囲内であれば、通常は3年ほど前までしか遡りません。しかし、法律上は5年分まで遡って調べられるとなっているため、ミスなど何らかの問題があった場合は過去5年分まで遡って調べられることがあります。また、意図的な脱税などの不正行為が発覚した場合の遡及年数はさらに延長され、7年前まで調べられることがあるのです。

つまり、あなたが何らかのミスで無申告だった場合ならば最大5年、故意に脱税しようとした場合の無申告であれば、最大7年まで遡って調査されることになります。